檸檬・レモン・lemon

素晴らしいレモンをいただきました。
大崎さんのレモン。

艶々と美しい、大きなレモンに感動!
思わず『これは何!!』と聞いてしまったくらい、見たことのないレモンでした。

新聞に取り上げられた後にお父様が亡くなり、引き継いだレモンハウスを見て、うちのレモンは日本一だと思ったそうです。



買ってきたレモンと比べて、この大きさの違い。
皮もツルツルの美人さんです。


イタリアやカリフォルニアのレモン畑は陽が燦々と降り注いで、明るい印象ですが、日本語で檸檬と言うとこの詩を思い出します。

レモン哀歌
                     高村光太郎

そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白いあかるい死の床で
私の手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関ははそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光つレモンを今日も置かう

                       「智恵子抄」より

少し悲しいけれど、命の最後に望む時でさえ意識を覚醒させてくれる、レモンの色の鮮やかさと、口に含んだ時の清冽さが感じられます。

そして、素晴らしいレモンを前にして、どう使うか思いあたらず途方にくれているところです。
とびきりレモンに負けない、美味しい料理を考えましょう。